2011年3月11日に発生した東日本大震災によって甚大な被害を受けた東北。ベストパーツ株式会社も本社と物流センターが被災し解体を余儀なくされ、今日まで仮設事務所で営業してまいりました。

しかし、東北が育んできた暮らしと文化は、豊かな自然の恵みから生まれてきました。震災によって家や職場を失った今でも、自分の地域の自然を愛し、見守り、そして活かすことを探求し実践するという意義は、ますます重要になってくるものと思われます。

ベストパーツ株式会社の復興計画は、まず土地のもつ特性や周囲環境との関わりを掴むことから始まりました。仙台駅から東へ約8Km、物流関連企業が数多く立地する宮城野区扇町にベストパーツ株式会社はあります。地域住民の協力を得て環境調査を進めると、もともと葦が生えていたというこの土地には地下水が豊富にあることがわかり、このことが復興計画のエッセンスとなっていきました。


地中熱ヒートポンプ+放射冷暖房システム

この土地の地中熱を利用して東北の快適な自然環境をオフィス空間に再現するために、「エネルギーの地産地消」という方策を推進するモデルをつくりあげたいと考えました。


室内の温熱環境を保つ高断熱仕様

スローエネルギーである地中熱を効果的に利用するために、寒風吹きすさぶ北側には断熱材を挟んだ外壁材で閉ざし、日が差し込む南側の窓は東側から連続することで暖房付加をへらします。夏には木々が大きな日陰をつくることで冷房負荷を減らし、冬は葉を落してエントランスに陽だまりをつくっています。


重力換気に有効な建物形状

春から秋口にかけては、太平洋から吹くやませを東側のスリット窓からゆっくり取り込み、放射冷暖房パネルで除湿、片流れ屋根にうながされ自然対流と重力換気によって西側の排煙窓に抜けていきます。

東日本大震災を経験したベストパーツ株式会社の環境への取り組みは、従来のような流通構造の合理化ではなく、一見すると企業とは縁が無いような「自然との共生の探求と実践」です。